『NHK朝ドラ カーネーション』

評価 (5 / 94)
『カーネーション』
◆放送期間 : 2011年10月3日 ~ 2012年3月31日
(全151回)
◆平均視聴率 : 19.1%
◆制作 : NHK(BK)
◆制作統括 : 城谷厚司
◆プロデューサー : 内田ゆき
◆演出 : 田中健二、末永創、安達もじり、小島史敬、福岡利武、松川博敬、盆子原誠、熊野律時
◆脚本 : 渡辺あや
◆原作 :
◆音楽 : 佐藤直紀
◆主題歌 : 椎名林檎「カーネーション」
◆主演 : 尾野真千子・夏木マリ・二宮星
◆出演 : 栗山千明、小林薫、濱田マリ、麻生祐未、綾野剛、尾上寛之、新山千春、川崎亜沙美、安田美沙子、他
◆語り : 尾野真千子・夏木マリ

◆特記 :
・放送人の会 放送人グランプリ2012特別賞受賞
・第38回放送文化基金賞テレビドラマ番組部門 優秀賞受賞
・放送批評懇談会 第49回ギャラクシー賞テレビ部門 大賞受賞
・東京ドラマアウォード2012作品賞〈連続ドラマ部門〉 優秀賞受賞
・第37回エランドール賞新人賞受賞
・第21回橋田賞新人賞受賞



2011年下半期・NHK朝の連続小説『カーネーション』のレビューをお待ちしています。

評価 (5 / 94)
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巨炎

「お母ちゃんも年取ったもんやなぁ」
直ちゃんは口は悪いが言う事はいつも正しい。
年少者への配慮や忍耐力を身に着ける一方で糸子は確実に衰えている。

アホボン達とのやり取りは呉服屋崩壊にして洋装店立ち上げ発端場面の焼き直し。
「お父ちゃん!」(土下座)⇒「あかん!」(即答)⇒「ワシを舐めとんかー!!」
「助けてください!」(土下座)⇒「嫌や」(即答)⇒「どんだけ商売舐めとんかー!」
それと気づきにくいのは前半では一つの場面で描かれた内容が二話に分けられている。
善作と糸子は親子で阿吽の呼吸だったのに対して糸子とアホボンはまだ疑似親子関係
とすら言えず、また善作が当時40代半ばだったのに対して糸子は既に70歳超え。
若い頃なら人助け云々以前にオモロイ仕事に喜々として首突っ込んでいったよねぇ(笑。
アクセルとブレーキのバランスはかくも難しい。

そして、こんな糸子は見たくなかった!と思うあまりにショッキングな場面。
B29に吠えていた糸子が暴走族に怯える日がこようとは…。
これはもう根性云々だけで、どうにかなる問題では無い。
後の話になりますが奈津は自分を奮い立たせるライバルを欲して岸和田に戻ってきたし
優子と直子も互いの距離を詰める等、それぞれに支えを見つけ「老い」に対抗していく。
では老い衰えた糸子を支えたのは何だったのか?というのが重要な所。  

巨炎

若者は年寄りに会った事も無い人の自慢話をされても感銘を受けたりしないもの。
里香も、お婆ちゃんの話だからで話半分に聞いている感じ。
80歳以降の糸子が完熟とすれば現在は半熟との中間かな?
戦争に話が及んだ所で少し不機嫌になって席を立つ糸子。
里香が女学校時代の糸子のように怪我をして運ばれてくる。

キーマンは勘助。かつて
『ダンスホールから引きずり出した時と同じノリで勘助にサエを引き合わせた』糸子が
『里香を東京中、引っ張りまわす一方で優子が会いにくるのは絶対に許そうとしない』
糸子は娘達に追い抜かれて十年以上、ただ悶々としていた訳では無く
幼馴染への悔恨と向き合い真剣に悶々としてきた訳です。
荒療治が度を過ぎると薬から毒に変質する事を知る経験を生かして孫に接していく糸子。
勘助に背負われていた頃には「勘助なんかに助けられた!」と喚いていたのに
孫を助けてくれた若者の中に幼馴染を見て何だか嬉しそうです。

巨炎

「時代が良かったんです」「育児は全部、人任せでした」 
全く、ごもっとも。糸子は母子家庭の父親替わり。
母親役は千代さん、性別反転で北村、長女として成長した優子らに振り分けられていた。
世の中が豊かになる一方、家族や近所で助け合える戦前のコミュニティがまだ残っており
家長が前を向いているだけで、まだ家族が成り立つ時代だった。
(オノマチ&園村コンビ出演「そして父になる」参照)糸子が千代や北村にどの程度、
感謝しているかは不明ですが当時の自分の至らなさへの達観は感じる。対して優子。

第一週の善ちゃん曰く
「何で糸子は外に遊びに行かへんのや。ワイにしばかれて、しょぼくれとんやろか」comment image
三姉妹編の糸子「きつく言い過ぎたか?」優子「何で里香はあないなってしもたんや」
糸子が善作の厳しさしか見てこなかったのに対して優子は優しさしか知らない。
子供の気持ちが解らず困惑するのは善作と優子。それは解ろうとする意識の裏返しであり
親としての優子は糸子よりは見込みがありますが(笑)、それだけでは足りない。

三姉妹編後半、優子は妹の立場に立った柔軟な対応力で糸子のお株を奪っていきましたが
一方で糸子へのリスペクト(=間接的な形で善作の厳しさに触れている)もあった。
「いつまで甘ったれてんのや!これは商売やで!!」
「ウチとか直子ぐらいのデザイナーになりたかったら、こっからが勝負なんやで」
糸子が善作へのリスペクト過剰で千代さんの母性を軽視していたのに対して優子は逆。
糸子より北村に離婚を先に話していたのが伏線で、母への態度も変わってしまった。
次回(また次週か…)の直子も同様で、既に母親を超えたつもりな娘達。

周囲も娘の事ばかりを聞きに来るのが内心、面白く無い糸子ですが、その立場だから
解ることがある。お茶くみに窓ふきとパッチ屋の経験を孫に伝えようとする糸子。
父に言われるまま赴いたロイヤル編以降のモチベーション低下に始まり、
三姉妹編で母の反対を押し切ってまで二度目の上京を決意してからの優子の飛躍、
自分の学歴を棚上げして通信簿を笑ったり聡子に説教をしていた糸子ですが、
聡子は相談相手に優子を選び、恵の経営者評価も優子一人が掃き溜めの鶴状態。
「勉強やで」に対する認識の甘さを我が子に思い知らされた糸子は
『自分の意思で学校に通うのと親に通わされるのは意味が違う』と
清三郎の地位まで登りつめて善作の教えを失念している優子より
里香の就学を真剣に考えるようになった。とはいえ四半世紀前は聡子の三日坊主に
ブチ切れていたので随分と粘り強く成ったものです。その理由は…。

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